一社に群がる「ウルフパック」:複数アクティビストがKohl'sを追い込んだ
Kohl's Corporation × Macellum・Ancora・Legion Partners ほか(2021年〜)
① 会社概要
Kohl'sは米国の中堅百貨店チェーン。業績低迷と株価の出遅れ、そして保有不動産(約40億ドル規模)の含み価値が長年の論点だった。
② アクティビストの登場背景
2021年、Macellum・Ancora・Legion Partners・4010 Capitalという複数のアクティビストが連携(いわゆる「ウルフパック」)してKohl'sに迫り、取締役会の刷新、不動産価値の実現、自社株買い、さらには会社の売却検討までを要求した。
③ 会社・取締役会の対応
2021年4月、Kohl'sは和解し、3名の独立取締役(うち2名は活動家推薦。元Lululemon CEOのChristine Day、元Burlington CEOのThomas Kingsburyら)を迎えた。だが和解は終わりではなく、その後もMacellumは「株主価値の毀損が続いている」として繰り返し攻勢をかけた。
④ 結果と評価
Kohl'sは戦略的選択肢の検討に追い込まれ、一時はFranchise Groupへの身売り交渉に至った(後に破談)。最終的に、活動家が送り込んだTom Kingsburyが2022年末にCEOに就任し、経営が刷新された。和解から始まった圧力が、数年をかけて経営トップの交代にまで及んだ。
⑤ 日本の経営者・取締役への示唆
アクティビストは一社ずつとは限らない。複数のファンドが連携し「群れ(ウルフパック)」で迫ることがある。そして最も重要な教訓は——和解や取締役の受け入れは、圧力の「終わり」ではなく「始まり」になりうるということ。一度議席を開けば、その取締役が数年後にCEOになる道もある。目先の和解で時間を稼ぐ発想は、より大きな変化への入口を自ら開くことにもなる。
⑥ 出典
公開報道(Reuters/CNBC/Retail Dive 等:Kohl'sの2021年4月の和解と独立取締役の受け入れ、Franchise Groupとの売却交渉の破談、Thomas KingsburyのCEO就任)