アライン・パートナーズが韓国の主要銀行持株会社7社を一斉に狙ったのは、各行が長年、株主還元よりもリスクアセット(融資)の急拡大に資本を向けてきた「非効率な資本配分」と、中期的な還元方針を開示してこなかった点にある。同社は、韓国の銀行の総還元率が当時平均約24%と、グローバルの同業他社の約64%に大きく及ばないことを低評価の根拠として提示した。その上で「効率的な資本配分の枠組みと中期還元方針の導入」を求め、2027年までに総還元率を少なくとも50%へ段階的に引き上げること、自社株買いの実行と配当増額、目標CET1比率を超える部分の株主還元を要求した。2023年1月2日の公開書簡では2月9日までの取締役会決議と開示を迫り、3月の株主総会に向けて配当や中期方針に関する株主提案も行った。主要各社は2022年度の総還元率を約27〜33%へ引き上げ、自社株買いと消却を発表したが、アラインはこれを一歩と評価しつつ5割の目標に向け、2024年1月に第2次キャンペーンの公開書簡を送るなど圧力を継続している。ここから日本の上場企業が学ぶべきは、アクティビストの攻撃が単年度の配当額の多寡ではなく、「どの水準の資本を何年かけてどのように還元するのか」という還元方針そのものの不在に向けられるという構造である。自己資本比率などの目標値と、それを超える余剰資本の還元ルールをあらかじめフレームワークとして開示し、同業他社との具体的な比較に耐えうる水準を自ら先行して提示しない限り、日本の銀行や資本集約型企業も同じ論理で還元方針の不透明さを突かれる。裏を返せば、単発の増配や自社株買いを都度発表するのではなく、資本配分の優先順位と目標到達までの道筋を数値で示した中期方針を先に開示することが、こうした要求を封じる最も有効な防御になるという点にある。
Case File — KR · Banks / financial holding companies
Korean Bank Holding Companies (KB, Shinhan, Hana, Woori, JB, BNK, DGB)
韓国 · Align Partners Capital Management · 2023
継続中資本配分
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